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次第に右手首の尺骨付け根が突起してきた。手の甲側、手首のあのでっぱりだ。他人が見ても分からない程度だが、本人にとっては大事だ。コキコキ鳴るクリック音も治らない。ついに市内にある整形外科に行くことにした。

レントゲンを撮り、見ていただくが異状はないとのこと。軽くあしらわれたのでここはだめだと思い、その後別の病院に行くが結果は同じく異状なし。理学療法、低周波などのリハビリにも通い出すが改善しない。こうして暇をみつけては病院に通うという生活が始まった。

都内のある大学病院の先生には「大丈夫。私が太鼓判を押します。どんなに激しい運動をしても平気ですよ」と言われた。激しい運動・・・。こんな音が鳴ってるのに?

筋力の低下や痩せというのは、よほどでない限り本人にしか分からない。この痛みが伝わらない、理解されないというのがもどかしかった。かといって食い下がると、ちょっとおかしな患者という扱いになってしまう。

群大、慶應、慈恵、北里大、etc...

レントゲン、筋電図、MRI、外科的な検査をどこでいくらやっても全て異状なしという診断だった。しかし、日増しに痛みは増してきており、まともに文字を書くことも困難になってきてしまった。

整体医院にもいくつか行った。そのうちの一つにとんでもなく痛い療法をされるところがあった。おばさんにやっていただいていたのだが、右手がおかしいということで行ったにもかかわらず、左側、真ん中からきれいに左半分がすごく悪いよ。と言われてしまった。

「お兄ちゃん、これほっとくとそのうち歩けなくなるよ」

歩けなくなる?何言ってんだ・・・。そもそも足じゃなくて腕がおかしくてここに来てるのに。

この人は家で整体をやっている以外は普通のおばちゃんだが、さんざん病院を回って自分の体の不調を理解してくれたのはこの人だけだった。しかも、その時はまだ無自覚だった左側の不調を指摘してくれたのだった。

左半分がおかしい。

その時は、その言葉を聞き流していた。だが、後になってそれがあながち間違っていなかったことを思い知らされる事になる。

ある日新聞に、肘での神経の圧迫が手のひらに痺れを起こすことがあるという記事が載っていた。肘部管症候群というやつで、尺骨神経の圧迫が原因で引き起こされる疾患だという。

その記事を書かれた先生の所へさっそく行き、自覚症状を話し、手術をしていただくことになった。手術は成功したかに思えた。実際、痛みや痺れは軽減した。二の腕と肘周辺の筋肉がかなり回復した。しかし、完璧とはいえなかった。

術後に右腕はかなり楽になったものの、なぜか腰や左腕、そして整体のおばちゃんに指摘されていたように左足までおかしくなってきた。座骨神経痛と同じ症状が出てきたのだ。まさかヘルニア?勘弁してくれという心境だった。だが、本などを見る限り、痺れの出ている部分や症状がまったく一致している。

その後も腰や首のレントゲン、MRI等の検査を続けた。相変わらず異状なしだった。まともに椅子に座る事もできなくなっていた。

 



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